vol29 レイニー。

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 どうもCBRチャレンジは雨に祟られているようだ。今年のレースシーンそのものも雨に翻弄されることが多いが(モトGP、全日本テスト等然り)CBRでのテストも毎回天候に悩まされている。

 雨は元々得意だし、昨年のJSBチャレンジの際、イヤっていうほどテストが雨だったので、走る気になれない。もちろん雨でもやれることはたくさんある。特に足回りを勉強するにはもってこいの機会だし、アクセレーションが大雑把な人は慎重に行う練習にもなる。ただ、さすがに20年もレースをしてくるとニッキー・ヘイデンのように「雨でもひた走る」というようなことが出来ない。予選やレースであれば喜んで戦うんだけど「雨なんて、その日早く走り出したヤツが一番速いんヤ」と十年くらい前に唸ってた宮城さん(光)を思い出すと、東京からもてぎくんだりまで行く気になれない。

 ということで今回ももてぎのテストをサボった。ちょっと前に右半身を痛めてしまって、未だ手首と手の甲が復活していないので、傷を癒すにはよかったのかもしれないが、もてぎのスポーツ走行スケジュールはそんなに多く組み込まれているわけではないので、結局次の走行はレースウィーク、ということになる。前回のレースから跨ってもいないので、ほとんど二ヶ月ぶりの走行が実戦だ。

「二日あけても問題はない、だが三日目はダメだ」

 最近読むようになったゴルフ雑誌で、プロ連中はよくそんなことを言っている。バイクの場合はどうだろうか。全日本を走っている場合にはそれなりに走行時間が確保されているため、あまりタイムラグを意識することはなかった。走り出して三周もすれば感覚が戻る。しかしこれは絶対走行量が多いからに他ならないためで、普段からあまり乗る機会がない場合には、久しぶりに走る場面では相応の連続走行を必要とする。アクセレーション、ブレーキング、体の前後左右方向への振り出し、絶対速度感、などなど、湯がいて戻さなければならない感覚がたくさんあるからだ。この時間を最短にするには、やはり10LAPほどの全開走行が手っ取り早い。例えばこの間に腕が上がり息が切れても、ピットインはしない。とにかくアクセレーションだけに神経を集中し、後はなるべくハードなピッチングを引き起こすように心がける。すると次のセッションでは驚くほど楽になり、ようやくマシンのセットアップに入れる、というわけだ。

 但しこれがレースウィークとなるとまたハナシは違ってくる。やらなければならないことがたくさんあり、その中で決定事項が連続するために、どっちつかずになってしまうことも多い。そのため事前の設計図は非常に大事で「なにをどこまでしたらどこにたどり着けるのか」ということを明確にしておかなければならない。こんなことは仕事では当たり前のことなんだけど、レースも仕事と同じように往々にして予測と結果が異なるために、プランも作業も柔軟な変化を求められる。その中で「受け入れなければならない」というのも非常に大事だ。これも最近ゴルフの師匠によく言われる言葉なんだけど「圭ちゃん、いいショットもダメなショットもすべて受け入れて戦うのがゴルフだよ」というのがある。確かにその通りで、物理的な限界は心理的な気合でカバーしきれない、といういことだ。負けん気がどうこうというのは物理的な技術が伴わなければ自爆装置に等しく、なんのパワーにもなりえない。その前に解析すべき事柄が山盛りになっているはずなので、まずはその状態を受け入れて戦に入れ、ということなのだ。ゴルフでは飛距離よりもまず正確なショットが求められるように、レースでもまずは正確なライディングが必須だ。ラップタイム然り、各操作然り。これが出来てはじめて道具に対する要求が生きてくる。そんなことを確認するには、レインコンディションというのはうってつけなのだ。

 レインコンディションという単語で思い浮かべるのはウェイン・レイニーだ。シュワンツとのバトルばかりが取り上げられることが多いが、それよりもウェットでの走りが強烈な印象として残っている。「500でもあそこまで雨で走れるんだ」。鈴鹿で実際に見たレイニーの走りはまさしく正確なマシンのようで、しかしとても熱い息吹を感じるものだった。20年近く前かもしれないが、未だ甲高い2サイクルの排気音が水しぶきを上げている映像が焼きついている。時として時間は残酷だけど、あのレイニーの走りを見て感じたインパクトがあったからこそ、雨でもヒザを擦るのが当たり前になったのだ。

 どんなときでも、サーキットを走る場面では、ああいう走りがしたいなあ。

 ※ 画像は07年度用の参考CBRカラーリング。派手かな?レプリカ大歓迎。
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by kei74moto2006 | 2006-09-29 01:02 | 2006-07 もてぎ選手権


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