vol 59 もてぎロードレース選手権 R4(決勝)

予選は二番手だった。トップはこのシリーズで何度も争っている黒川選手、VTR-SP1。一昔前のバイクだが、マシンパッケージそのものは結構イジくってある雰囲気だ。足回りなどにもお金はかかっている。

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その黒川選手と、はじめからガチバトルになった。

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ツインならではの特性を上手に生かして各コーナーのアプローチから立ち上がりまで隙なく走っている。トップスピードはそれほどでもないが、そこに到達するまでのテンポが驚くほど速い。

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予選からもさらに仕様を変更して挑んだCBRは、思い通りのマシンバランスとまではいかなかったものの、なんとかこれに喰らいついていくだけのパフォーマンスを発揮した。互いに相手の出方を伺いながらの序盤戦とはいえ、4周目には130RからS字の進入でトップに立ってそのままレースを引っ張る。

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6周目には25秒6、7周目に25秒5、8周目に25秒7と連続して予選タイムを上回るペースで周回する。ペース的にはけして悪くないものの、後ろも離れない。出来ればこの最終戦までに、あと1秒弱ほどペースアップできるようなパッケージを作り上げたかった。たぶん黒川選手とのベストラップではコンマ5秒近い差がある―どうする?ツインの排気音を背中で聞きながら、勝てる可能性を探る。

このペースで走って離せないなら、前を走るのは得策じゃない。残りは4周。一旦下がって相手を見ることにした。

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VTRとCBRの違いはこうだった。まずストレートエンドでは若干追いつき、コーナー進入はほぼ互角、しかしクリップ付近からはVTRが非常にコンパクトに回り、そこから脱出への移行が驚くほど速かった。こちらがホイルスピンをしてばかりいる2~4速間の加速力では太刀打ちできない。正直言えば、ほとんど勝負できるパートはなかった。つまりロングストレートの後半部分以外で、アドバンテージはない。

一発勝負。

そう決めて周回を重ねる。

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前に出た黒川選手も思ったほどペースは上がらず、ギリギリでついていくことは可能だった。タイヤの状態も似たようなもので、すでにリヤは流れ始めている。とにかく早くバイクを起こして加速に入れる。立ち上がりでは出来る限り後ろに乗ってリヤタイヤを地面にこすり付ける。垂直に近い状態でもホイルスピンを始めている以上、そんなギリギリの戦いしかなかった。

迎えた最終ラップ。ひとまずは舎弟圏内にいる。だが、バックストレッチからダウンヒル、S字にかけてややペースが上がった。恐らくワンチャンスは130RからS字の飛び込みだ。ここで離される訳にはいかない。

少し無理をしたショートカットS字立ち上がり(本コース4コーナー)では3速で思い切りリヤが流れた。しかしギリギリでハイサイドにはならず、そのまま縦方向のスライドになった。トップとの差が少しだけ開いてしまい、このままでは130R以降の勝負に出られない。

なんとかその差を詰めようと5コーナーのブレーキングを思い切り遅らせたところ………リヤが流れ出た。クリッピングどころかコースアウトしそうなほどの、大きなブレーキングミスだった。

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130Rでの進入では絶望的なほど差が開いていた。この瞬間、この二年間のチャレンジが終わったなと思った。もちろん最後まで何があるのか分からないのがレースでもあるが、これほど緊張感のある戦いの中で、下らないミスやマシントラブルは起き得ない。

最後のヘアピンを回ると、チェッカーフラッグよりも先にこの二年間の間、ずっと傍らに寄り添っていてくれたピットクルーやメカニック、そして応援団の姿が見えた。

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彼らに向かって最大限の謝辞を込めて、出来る限りフロントホイールを引っ張り上げ、神無月の空の彼方を眺めた。


つづく
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# by kei74moto2006 | 2007-10-14 15:50 | 2006-07 もてぎ選手権