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vol6 想うは輝かしき日々

四輪の免許を持っていなかった16歳のオレは「ドリームNODA」の先輩方のトランポにバイクを積んでもらっての筑波通いが続いていた。何度目かの走行で「メカニック系のレーサー」のほとんどにラップタイムで勝り、そこから少しずつ「上下関係」に微妙な線が入りはじめた。そして迎えたデビューレース、1988年の筑波選手権第二戦。単体カテゴリーでのエントリーが数百台にも登るSP250クラスで、いきなり予選3位となってから、状況は一変した。

「ケイ、おまえスゴイな」

その年の最終戦では当事のNODAのトップライダーであり、ノービスレーサーのアイドル的な存在だった「平田義和」選手とデッドヒートをするまでに成長、結果100分の7秒台の僅差で破れて二位となったが、これは未だにステキな「負け戦」として胸に焼き付いている。絶対に追いつけないのではないかと思った先輩、しかしそれに追いつき、しかも前に出てデットヒートを繰り広げる。抜かれた後も「ついていけて」、しかも先輩はオレに対して「ブロックライン」を使った………。絶対に世界一速くなってやろうと思っていたが、しかし実際に自分が速くなって目標に追いついていくのはどうも現実感がなかった。

「アブなくヤラれるとこだったぜ。ケイ、おまえ速くなったな」

表彰台の上、それまでは背が小さくても「巨人」に見えた平田さんを、背丈と同じ大きさに感じるようになった。「NODA」としてのレースはこれで終了、高校を卒業する翌年三月には鈴鹿に渡り、西の名門といわれたブルーフォックスの門を開くこととなる………。
# by kei74moto2006 | 2006-05-08 05:29